はじめに ~ 感情を味方にするコミュニケーション

感情は、あなたが生きている証です。怒り、悲しみ、喜び、不安、感動…、それらはすべて、あなたの心が何かを感じ、反応していることのあらわれです。

けれど現代では、感情を「見せてはいけないもの」「コントロールすべきもの」として扱う場面が少なくありません。

だからこそ、このステップでは、改めて、感情とのつきあい方を見直し、整え、伝えるための力を育てていきます。

感情とつながり、関係を深める ― 心の声に気づき、伝える力を育てる

感情は、「心のナビゲーション」

感情には、たとえば、こんな役割、本来の意味があります。

  • 怒り:「何かが侵害された」「不正があった」ことを教えてくれる
  • 不安:「備えが必要だよ」と教えてくれる
  • 喜び:「これは自分にとって大切なことだ」と気づかせてくれる
  • 悲しみ:「大切だったものを失った」と知らせてくれる

つまり、感情はあなたの内なる知恵・気づきのサインなのです。それを抑えこんだり、否定してしまうと、あなたは自分の本音からも、他人とのつながりからも遠ざかってしまいます。

感情とどう向き合うかで、人生の質が変わる

あなたの感情が

  • 怒りに任せて爆発したり
  • 不安に振り回されたり
  • 喜びを表現できずに終わったり

すると、せっかくの「心のメッセージ」が人間関係の摩擦や孤立を生んでしまいます。

でも、もし──

  • 怒りを、言葉で穏やかに伝えられたら?
  • 不安を、受けとめたうえで共有できたら?
  • 喜びを、素直に表現して一緒に感じ合えたら?

あなたの人間関係は、もっとあたたかく、誠実なものに変わっていくはずです。

このステップで学ぶこと

  • テーマ:感情の理解
  • 学びの内容:感情の役割・性質・抑圧と爆発のしくみ
  • テーマ:自分の感情への気づき
  • 学びの内容:感情語彙・感情チェック・自己観察力
  • テーマ:怒り・不安・喜びの表現
  • 学びの内容:のでなく、つなげる」方向へ
  • テーマ:表現技術
  • 学びの内容:感情の言語化、タイミング、相手への伝え方
  • テーマ:実践力
  • 学びの内容:小さな表現チャレンジとふりかえりの習慣

これらを通じて、あなたは感情に飲み込まれず、感情を使って人とつながる力を高めていきます。

問いかけワーク~あなたと感情の関係は?

少し静かに、次の問いに向き合ってみてください。

  • 最近、あなたが強く感じた感情は何でしたか?  怒り、不安、喜び、悲しみ、焦り…なんでも構いません。
  • その感情に、あなたはどう対応しましたか?  受けとめた? 隠した? 出した? 無視した?
  • その感情を、誰かに伝えましたか?  伝えられなかったとしたら、なぜでしょう?

あなたの「感情とのつきあい方」を知ることが、すべての第一歩です。


感情は、あなたの一部であり、大切な心のサインです。それをただ「コントロール」するのではなく、「気づき」「整え」「表現する」ためのスキルを、これから一緒に育てていきましょう。

次のセッションからは、まず感情全体のとらえ方として、「感情は敵ではなく、味方になる」という視点で、感情との基本的な向き合い方を学んでいきます。

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